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メンタルヘルスを考える

大坂なおみ選手の「提言」からメンタルヘルスのリスクを考える

2021.06.10

今必要な危機管理広報・危機管理広報

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女子テニスの大坂なおみ選手は5月30日に行われた全仏オープン1回戦で初戦突破を果たすも、会見を欠席したことで罰金1万5000ドル(約165万円)を課され、同月の31日には2回戦を棄権すると表明し、6月1日に2018年から長い間メンタルヘルス(精神の健康)上の問題があったと自身のSNSで明かします。

ツアー大会では、選手の会見は義務づけられており、正当とみなされる理由がないかぎり、拒否すれば罰金が科されます。

記者会見を拒否し罰金を科せられたあとに、精神健康上の問題を告白した彼女を批判する声は多く、一連の騒動の最初は、多くのメディアが「メディア対応も仕事」「競技への侮辱」などと批判的な報道をして、全仏の主催者も批判とともに、グランドスラムの出場停止の可能性があると散らつかせていました。

その後、彼女は自身のツイッターで“I have suffered long bouts of depression -”などと、自分を守るために記者会見をしない方がいいと思った経緯や、棄権することがテニスに集中できるために必要だったと記者会見を拒否した理由を説明しました。

これを受けて一転、メディアを中心に彼女を擁護する同情論の報道が巻き起こります。

「なぜ最初からそれをすぐにオープンに言わないのか?」「後だしじゃんけん」という声の報道も一部されましたが、スポーツ界からは同じテニスプレイヤーのセリーナ・ウイリアムズやジョコビッチ、F1王者のルイス・ハルトンらから、彼女を応援する声が続々と上がります。メンタルヘルスに関して発信している彼女をサポートすることで、イメージが良くなる狙いがあると考えられる企業からは、スポンサーであるナイキ、マスターカード、タグ・ホイヤー、日清食品が支持を表明しました。

あるアプリ運営会社からは、罰金を代わりに支払いたいと申し出までありました。

大会を棄権してまで、アスリートのメンタルヘルスに関する問題を提起できるのは、スポンサーが味方にいて、彼女に影響力があるからこそできます。

 

昨年、彼女は「Black Lives Matter(黒人の命も大事、BLM)」の運動でも声を上げました。政治的なスタンスを表明するために全米オープンの試合に出ないと表明し、この時も社会に議論を巻き起こしました。

その後、全米オープンが彼女のチームと交渉し、社会的メッセージを表現したものを身につけることを許可し、彼女にBLMに関して社会に発信する機会を与えました。

数日後に試合に戻ってきた彼女は、警察に殺されてしまった黒人の被害者の名前が書かれた真っ黒のマスクで登場し、大会を勝ち進むにつれ、一試合ごとに違う人の名前が書かれたマスクを着用しました。

彼女のこの運動に全世界が注目し、普段はテニスを見ない人も全米オープンを見ることになり、大会にも注目が集まり多くの人にメッセージが届きました。

 

ソーシャルメディアを通して、影響力のある個人が自身の見解を世間にオープンにしたことが発端になった同じような動きは、2017年の終わりにかけてアメリカで巻き起こったMetoo運動が記憶に新しいと思います。

Metoo運動は、世の中の性暴力やセクハラの被害を受けてもそれまで沈黙していた被害の経験を#MeTooをつけて次々とネット上に書き込み、集団的に驚くべき数と勢いが、性暴力・セクハラがどれだけ社会に蔓延しているのかを世の中に気づかせてくれました。

日本国内で昨年10月「三菱UFJ代行ビジネス」の元女性社員が、セクハラが原因で精神疾患を発症したとして労災認定されたことがニュースになりました。身体接触のないセクハラを主要な理由とした労災認定は珍しいという報道がされていましたが、Metoo運動のような動きが、少なからずこれまで声をあげられなかった弱者にとって情報発信や行動が出来る世の中になったことに繋がったのだと感じます。

今後このような世の中の動きは加速すると考えられます。したがって、企業や団体として、大坂なおみ選手のようなソーシャルネイティブ世代の情報発信とコミュニケーションのやり方、多様性を認める価値観を理解すること、全社員のメンタルヘルスのリスク管理等が求められています。

実際に、海外では複数のスポーツ競技団体が、選手などに向けられたネット上の誹謗中傷への抗議として「ソーシャルメディア・ボイコット(TwitterやFacebookなどのSNS使用を凍結)」の措置をとっています。

企業はこれから世の中の潮流に取り残されないよう、このようなニュースをキャッチアップしながら、リスクセンスを向上させることがますます必要だと感じます。

レイザーは、お客様のご要望をヒアリングし、現状分析から必要に応じてチームビルドから危機対応まで、全般にわたり業務支援しています。

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